スタディーツアー体験記の第2弾です!
NPO法人STUDY FOR TWOという団体としてラオスに渡航した際の体験記になります。第1弾ではラオスの雰囲気や文化をメインにツアーのスケジュールにそってお伝えしていますのでよかったらそちらもご覧ください。
今回はスタディーツアー(以下スタツア)で感じたラオスの教育課題にフォーカスして執筆します。日本にいると、なかなか途上国や東南アジアの教育について現地のリアルな状況を知る機会は少ないと思いますのでぜひ最後まで見ていってくださると嬉しいです!
ツアー概要
- 行った場所:ラオス サバナケット県
- ツアー日数:4日間
- 主なツアー内容
〇学校訪問
〇自宅訪問
〇周辺の観光 etc…
主に学校訪問と自宅訪問で感じた課題をお伝えします。学校訪問は小学校と中学校の2校を訪問してきました。
ラオスってどんな国? ~基本情報~
まずはラオスの基本的な情報を簡単にまとめておきます。
基本情報
ラオスの基本的な情報です。(参考文献*1)
- 正式名称:ラオス人民民主共和国 (Lao People’s Democratic Republic)
- 首都:ビエンチャン
- 面積:約24万平方キロメートル (日本の約63%程度)
- 人口:約744.3万人 (2022年 ラオス統計局) (日本の約6%程度)
- 言語:ラオ語(ラオス語)
言語はラオ語ですが現地に行ったところ、タイ語もよく使われていました。特にテレビやラジオはタイの番組が入っているようで、タイ語がほとんどでした。
国旗の赤色は革命で流れた血と犠牲を、青色はメコン川と国家の繁栄を、白色の円は満月と統一性を示しています。
統計情報 ~教育面~
- 教育システム:初等教育(義務教育)5年、前期中等教育(義務教育)4年、後期中等教育3年、高等教育4年
- 識字率(15~24歳):約95% (2022)
女子:約94% 男子:約95% - 純就学率(小学校):約91.47% (2018)
- 修了率(小学校):約89% (2020)
- 純就学率(中高):約60% (2018)
- 修了率(中高):約62% (2020)
- GNP(一人当たりのGDP):約2075.4$ (2023)
教育面の統計情報です。もっと詳しく知りたい方は参考文献*2の「World Bank Open Data」にかなり詳しい項目まで載っています。
ここから分かることを簡単にまとめましょう。
義務教育は小学校5年間と中学校4年間の計9年間です。都市部と農村部で就学率・修了率ともに格差があり、都市部では教育熱の高まりにより中学校だけでなく高校に進む人も多いですが、農村部では中高への進学率はまだそこまで高くありません。義務教育が9年間というのもまだ完全には浸透していないようです。
識字率95%は高く感じるかもしれませんが、学校のクラスで例えると、1クラスあたり2人程度は読み書きができないといった割合です。
また一方で、途上国にはいくつかの区分があり、特に国連によって低所得国とされる後発開発途上国と、途上国の中でも著しい成長を遂げている新興国がありますが、ラオスは近年新興国となりました。
GNPも後発開発途上国の中ではかなり高い水準にあり、これらの統計に基づき新興国となったようです。
このように、ラオスは未だ教育課題は抱えながらも成長を続けている新興国といえるでしょう。ここまでが、ラオスの教育の大まかな基本情報です。
ラオスの教育課題 ~学校・自宅訪問にて~
ここからは数値で見る一般論ではなく、私自身がスタツアで肌で感じた課題感についてお話しします。冒頭でも触れましたが、今回スタツアで行ったのは、ラオスのサバナケット県の学校2校の訪問と、奨学生の自宅訪問です。私は途上国に行ったのはこれが初めてで、多少緊張していましたが現地の方々が親切に、フレンドリーに接してくださったため、大変楽しんで交流することができました。
この訪問では私たちの団体が行っている支援が本当にこのままでいいのかどうか、考えさせられました。まず気になったのは、高校以上に進学できる奨学生が非常に少ないという点です。当時の私たちの団体(STUDY FOR TWO)はラオスの小・中学生に向けた奨学金支援を行っていました。
しかし、自宅訪問で伺った話によると、教材代などよりも生活費や自転車などの移動手段などに困っている家庭がほとんどで、高校への進学も困難な状況にありました。
結果、選択できる職業の幅が教育によって増えることも少なく、最終的に家の農業を手伝ってまた次の世代へ、という状況が続いています。学校の教育をより生活に反映させるような支援はできないかと考えました。
もちろんそもそも義務教育を受けられなければ元も子もありませんし、現状の奨学金支援自体は必要だと思います。ただ、よりロングスパンの支援計画をするなど、支援形態の見直しをする必要性を感じた訪問でした。
さらに、教育について気になった課題は教員の課題です。今ラオスでは正式な教員になれる人の数に制限があるそうで、その枠がいっぱいで新たに教員を採用しづらい環境にあるようです。と言っても教員が十分に足りている訳ではありません。特に農村部では不足しています。しかし、教員の数を増やすことはできず、できたとしても教員も都市部の勤務を望むため、田舎の方の地域ではボランティアで教師をしている方も少なくありませんでした。私が訪問した学校でも何人かボランティアの先生がいらっしゃいました。
それに伴い、教員の質も問題になっていました。ラオスで教育が普及し始めてからそれほど長い年月はまだ経っていません。つまり、教員自身も十分な教育を受けられているとは限らないのです。その上、ボランティアの教員もいるとなれば教育全体の質を底上げするのも困難でしょう。ボランティアの方は自分の農業などの仕事もある点でも、やはり教員の質と量の両方の観点から課題解決が重要と感じました。
また、私たちが行った農村部の学校でもかなり貧富の差がある様で、屋根の修理もままならず、水も満足に得られない家庭から、スマートフォンをもっている子どもたちまで様々でした。都市部に行けば、さらに裕福な家庭も少なくないでしょう。ラオスは開発途上国の中では比較的裕福な方といわれています。もちろんそれでも農村部や少数民族など、教育支援が必要なことには変わりありませんが、他にも差し迫った国があるのではとも思いました。もっといろんな国のいろんな課題を見聞きして、比較検討して吟味したうえで、どんな支援が必要なのか、追求していきたいです。
まとめ
今回のスタツアで、ただ支援金額や支援人数を増やしていけばよいわけではないことを改めて実感することができました。
より必要な場所により必要な支援を提供すること。それを念頭に、よりよい支援を追求していきます。最後まで見ていただき、ありがとうございました!!
みなさんがラオスの教育について少しでも理解を深めることができたならうれしいです!
参考文献
- *1:外務省/国・地域/ラオス人民民主共和国/https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/laos/index.html/閲覧日 2024.09.04
- *2:WORLD BANK GROUP/World Bank Open Data/https://data.worldbank.org//閲覧日 2024.09.04
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