PR

東工大機械系(東京科学大学) 大学院の筆記試験マニュアル

工学
記事内に広告が含まれています。

この記事は東京科学大学(旧東京工業大学)の「工学院機械系」大学院(修士課程前期)の筆記試験(B日程)を受験される方に向けて書いています。
大学院入試で最も合否を分けるのが筆記試験です。

何から手を付けたらいいかわからない💦
学部の授業でやったけど、忘れちゃった💦

情報が多くない大学院入試、そのような悩みを持った方は多いと思います。でもこの記事を見れば大丈夫です。実際に令和6年度の試験を受けて無事合格した経験から、筆記試験について徹底解説します!この記事を読み終えるころにはすぐにでも机に向かって勉強を始められるはずです💪
東工大合格まで突っ走りましょう!

筆記の試験範囲は?何がでるの?

試験範囲のチェックです。まずはしっかり募集要項を確認しましょう。
東工大の工学院機械系では、令和5年の試験から試験範囲が変わり、機械四力と呼ばれる、

  • 材料力学
  • 機械力学
  • 熱力学
  • 流体力学

の4教科のみとなりました。機械系の大学院入試ではたいてい数学や制御、機械材料などの科目も入るので、だいぶ良心的な範囲かと思います。外部の方でも受けやすいですね。

ちなみに、東工大もR4までは数学があり、H30までは機械材料加工学、機構運動学、伝熱学などもありました。難易度の方も令和に入ってからの方が易化しているようです。

ただ、R7以降は東工大は東京医科歯科大学と合併し、東京科学大学になるため試験の傾向がまた変わる可能性も十分あります。私も最新の募集要項が出次第チェックして内容を更新していく予定ですが、ぜひご自分でも募集要項の試験範囲をご確認ください。

問題は、計算問題を含めほとんどの問題が穴埋め形式(センター試験や共通テストに近い形式)が多いです。解答用紙は枠もなく、解法も書くことができますが、導出過程よりは答えが合っていれば点が貰える仕組みなのかなと思っています。

院試全体の流れ (簡易ver)

入試当日までの簡単な流れです。詳しくは「東工大の大学院入試に合格するまでの流れ ~東工大院試マニュアル~」をご覧ください。院試合格までの流れをかなり網羅的にまとめているので参考になると思います!

  • 準備・調査
  • TOEIC
  • 研究室訪問
  • 出願書類準備・出願
  • 筆記試験対策
  • 面接・口頭試問対策

勉強の流れ

筆記試験対策はどのような順番で勉強していけばいいか、簡単に解説します。

  • 過去問から出題傾向の把握
  • 基礎固め
  • 問題演習
  • 過去問演習

過去問から出題傾向の把握

まずは全く分からない状態でもいいので過去問数年分に一通り目を通しましょう。
教科書などと照らし合わせながら、どの単元が出ているかをメモし、傾向を把握をします。

私の場合は、直近4年分にざっと目を通して各単元でどんな分野が出るかまとめていました。この時点で時間をかけすぎないことがポイントです。解けそうな問題は解いてみてもいいですが、公式などもだいぶ忘れているので、ここで悩んでも仕方ないです。問題のジャンルをまとめる程度にしましょう。
また、直近4年分とは言いましたが、前年度のものは全く見ずに本番練習用に取っておきました。勉強終盤に完成度の確認をしたかったのと、初見の問題を解く練習のためです。

基礎固め

試験範囲全体的に、基礎知識を付けます。まずは学部時代に使っていた教科書で復習するのが良いです。移動時間や隙間時間にYouTubeなどで勉強するのもおすすめします。この時点では完成度はそこまで気にしなくていいです。概念を理解しましょう。

問題演習

いよいよ問題演習です。正直、基礎固め、問題演習、過去問演習はある程度同時進行でいいと思います。同時進行で進めながら、「ここの単元の基礎固めまだ足りないな」「ここ実際の過去問ではどんな問題が出るんだろう」といった具合に漏れをなくしていきましょう。

問題演習は、「機械系大学院への四力問題精選」「JSMEシリーズ」の演習がおすすめです。私は四力精選を使っていました。また教科書や問題集について詳しくおすすめをまとめた記事も作る予定ですのでそちらもご覧ください。

ただ注意点があります。大学院入試用の問題は解く人が少ないこともあり、過去問も問題演習も解答が必ずしも正しいとは限らない点です。問題集はネットに誤植リストが上がっている場合もありますし、過去問の場合はできれば2人以上から解答を入手しましょう。

過去問演習

過去問は時間を測ってやりましょう。東工大の試験は4教科3時間で1教科にかけられる時間は45分とそこまで余裕があるとは言えません。時間配分に慣れておきましょう。

過去問は直近5年~10年を2周以上できるといいです。できればもっとしたいですね。
合格点は大体6割程度と推定されていますが、あくまで推定ですし、平均点によっても変動します。本番は緊張の中、完全に初見の問題を解きますので、練習では8割~満点を目指してやるのが無難です。
前述しましたが本番練習として、試験直前に直近1年分は問題も見ずに取っておくのもおすすめです。

1周目は特に、間違えた問題や不安がある問題、重要な問題はすべてノートにまとめておきましょう。そのノートに書いた問題は、次は絶対に間違えないようにするくらいのマインドでまとめます。1周目が終わるころにはそのノートがあなただけの1つの強力な参考書、問題集になっているはずです。

このような流れで勉強に取り組んでいけば、おのずと合格点どころか高得点に近づいてくると思います。

過去問・解答の入手方法

問題数年分だけならネットにも載っていますが、解答はありませんし量も少ないです。特に外部受験の方は入手が難しいので以下に入手方法の例をまとめました。
・研究室訪問で先輩に頂く
・メルカリで購入する
・SNSや知人などで東工大を受ける人や先輩を探し頂く
・友達などと協力して自作する

過去問解答は学部受験の時と違い、情報が少ないです。必ずしも解答が合っているとは限らないので、できれば2人以上から入手できると安心です。私は研究室訪問とメルカリで2つほど入手しました。

【メルカリ】

詳しくはこちら👇

私が自作したノートと過去問解答、志望理由書、体験記などをメルカリで出品予定です。ぜひご利用ください。

各教科ごとの対策 ~詳細解説~

四力それぞれの教科ごとに、

  • 難易度や所要時間の目安
  • 具体的にどのような分野が出題されるのか
  • それぞれの単元の傾向や対策

※あくまで過去問と私が受けた令和6年度の問題から見た傾向です。それ以外が出ても対応できるようにある程度は網羅的に勉強しておきましょう。

材料力学

<知識問題>

  • 応力・ひずみ曲線
  • モールの応力円

<計算問題>

  • 棒材の力学(引張・圧縮・熱応力)
  • はりの曲げ
  • 棒材のねじり
  • 薄肉円筒

材料力学はいかにミスなく解けるかといった印象です。難易度はそこまで難しくも簡単すぎもしないといった印象ですが、材力は序盤の間違いを最後まで引きずるタイプの問題です。練習でも計算ミスを軽くとらえず、なぜミスしたのかを考え徹底的にケアレスミスをなくすことが重要です。棒材の力学の内力や、はりの曲げのモーメントの符号がよくあるミスポイントです(笑)。
全体的に基礎的な問題が出ますので、落ち着いて解きましょう。

応力ひずみの関係とモールの応力円に関しては細かいところまで暗記しておきましょう。
時間は比較的かかります。1時間以内で解ければ他でカバー可能なので、まずは1時間以内、慣れてきたら50分以内を目指しましょう。

はりの曲げは毎年出ます。代表的なたわみやたわみ角は覚えておくと圧倒的に時短になります。たまにですがカスチリアノの定理や座屈応力も出るので対応できるようにしておきましょう。

棒材のねじりは複雑な問題は出ませんが、はりの曲げとの複合問題は出ることがあります。

機械力学

<知識問題>

  • 慣性モーメント
  • 減衰振動
  • 強制振動・共振・振幅応答曲線
  • 多自由度系の振動

<計算問題>

  • 1自由度系の振動
  • 2自由度系の振動

機械力学は、難易度も高くなく時間もそこまでかかりません。普通に45分を目指していいと思います。ただ、満点近くを狙うなら難易度は高いと言えます。というのも、知識問題が結構難しいです。とはいえ、合格点を目指すなら難しい問題は数問なので、問題ないでしょう。

知識問題ですが、減衰振動の各種パラメータ(減衰比、減衰率など)はほぼ確実に出るので暗記しておきましょう。計算問題でも使うので必須です。
強制振動・共振の問題は応答曲線の形とその意味を理解できていれば解けるようになるはずです。慣性モーメントも基礎なので取りこぼさないように。
問題は強制振動や多自由度系の問題で、マイナーな知識問題が出る場合ですが、これは仕方ないです。ただ、「リミットサイクル減少や跳躍現象などを多自由度系非線形振動系でモデル化できる」という問題は何年か出ているので出たらラッキーだと思って即答できるようにしておきましょう。
東工大では授業でJSMEのテキストを使うようで、用語などはそちらを見るといいと思います。私は広大から受験したのですが、細かい用語がやや異なる表現をしていたりと、最初慣れるのに手間取りました。

計算問題は、1自由度と2自由度の自由振動はもちろん、強制振動、減衰自由振動、減衰強制振動の運動方程式の解を知っていれば何の問題もなくクリアできると思います。

熱力学

  • 熱力学第一法則
  • 熱力学第二法則(エントロピーなど)
  • ガスサイクル・蒸気サイクル
  • 冷凍機・ヒートポンプ
  • 理想気体について・気体分子運動論
  • マイヤーの関係式
  • ポリトロープ変化

熱力学はどの項目も知識問題にも計算問題にもなり得ます。強いて言うならガス、蒸気サイクルが知識問題頻出で、エントロピー、冷凍機・ヒートポンプが計算問題頻出という印象です。

熱力学は苦手なイメージがある方も多いと思いますが、東工大の入試においては難易度も低く得点源です。時間もかからないので、熱力学で積極的に時短するのが理想ですね。40分以内を目指しましょう。ただ、急いで細かいミスをしないように。ミスもしやすいので😂。

熱力学第一法則、気体の状態方程式、マイヤーの関係式から熱量や仕事を求め、様々な状態変化(定積・定圧・等温・断熱)の関係式を導出する問題もよく出るので、導出過程をしっかり頭に入れておきましょう。

また、ガスサイクル・蒸気サイクルは最重要です。この仕組み、PV線図、TS線図、効率の求め方をどれだけ覚えているかで解く時間も得点も大きく変わると思います。ここは、JSMEの熱力学のテキストがおすすめです。私も直前はJSMEのテキストのサイクルの部分を切り取ってファイリングして隙間時間に暗記していました。

流体力学

  • 非粘性流体の1次元定常流れ(連続の式、ベルヌーイの定理、運動量の法則)
  • 粘性流体の2次元流れ(ナビエ・ストークス方程式)
  • 境界層
  • 揚力・抗力
  • 複素速度ポテンシャル・渦度

流体力学が難易度は東工大の四力の中で最も高いです。計算に時間がかかるわけではないので、時間は45分で問題ないと思います。

流体力学は長い文章の穴埋めといった問題です。比較的難易度が高いのは、ナビエストークス方程式の問題と、複素速度ポテンシャル・渦度の問題です。

ただ、ナビエストークス方程式は、条件から簡略化→境界条件から解を求める→流量や流速、圧力を求める→せん断応力を求める、といった決まった型があるのでそれと代表的な流れを頭に入れておけばそこまで困ることはないです。

複素速度ポテンシャルは、渦度や代表的なポテンシャル流れ、流線の方程式など幅広く出題されることと、まれにひねった問題も出るので注意が必要です。流れ関数など基礎的な部分で取りこぼさないようにしましょう。

それ以外の単元は演習量が十分であれば基礎的な問題が出るので大丈夫だと思います。連続の式、ベルヌーイの定理、運動量の法則で解けます。

最後に

最後まで見ていただきありがとうございました。
かなり詳細な内容でした。特に院試の準備段階の方などは、よく分からない部分もあったかもしれませんが焦る必要はありません。「勉強の流れ」で説明した通りに勉強を進めていけば院試前の6~8月にはしっかり分かるようになります。

この記事がすこしでも役に立ったら嬉しいです!みなさんが合格できるのを祈っています!

<お問い合わせ>

    ※お問い合わせ後のメールが迷惑メールボックスに入る場合があります。返信メールが来ない場合はそちらもご確認ください。

    ※こちらの記事は2024/9時点での記事です。入試の傾向や試験形式は変更する可能性もあります。また、東工大は東京医科歯科大学と合併して東京科学大学になる予定です。情報が変わる可能性が高いのでご注意ください。

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました