2024/10/19
広島大学で開催の「軽金属学会 中国四国支部 第16回講演大会」に参加し、聴講させていただきました。今回、特にカーボンニュートラルに向けた金属の軽量化技術について多くの学びを得ました。
2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには、材料の軽量化もまた重要な課題となっています。自動車や航空宇宙産業では、軽量な金属材料が省エネルギーのカギを握っており、今回の学会では、チタン、アルミニウム、マグネシウムなどの軽金属が多く取り上げられていました。
カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラルの概要
カーボンニュートラルとは、
人間の活動によって排出される二酸化炭素(CO₂)の量を、自然環境や技術によって吸収されるCO₂の量と同じにする、つまり
「実質的なCO₂排出量をゼロにする」
ことを意味します。これにより、地球温暖化の進行を抑え、持続可能な社会を目指すという目標が達成されます。
カーボンニュートラルが注目される背景には、地球温暖化問題が深く関係しています。気温の上昇、氷河の融解、生態系への影響などの問題がまさにそうです。これらの問題を解決するために、世界的にCO₂排出量の削減が求められています。その中で、カーボンニュートラルは「排出するCO₂を削減し、残った分を自然や技術で相殺する」戦略として採用されるようになりました。
※カーボンニュートラルに関する詳細な記事はまた別で執筆予定ですのでそちらもご覧ください。
国際的な背景
国際的には、2015年のパリ協定で、多くの国が温室効果ガスの削減に合意し、気温上昇を2°C未満に抑えるという目標を掲げました。さらに、1.5°C以下に抑える努力をすることも求められています。日本をはじめとする多くの国々は、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目標にしています。
これに伴い日本では、グリーン成長戦略を掲げ、再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率の向上、技術革新によって2050年までにCO₂排出を実質ゼロにすることを目指しています。
軽金属学会で感じた未来の軽量化技術
カーボンニュートラルと軽金属の重要性
学会で特に注目されたのは、チタン以下の比重を持つ軽金属の研究でした。チタンは高強度かつ軽量な金属であり、特に航空宇宙や医療分野での利用が期待されています。また、アルミニウムやマグネシウムも、リサイクル性や軽量性に優れているため、自動車の軽量化や環境負荷低減に貢献しています。このような軽金属は、カーボンニュートラル実現に向けて、今後さらに需要が高まるでしょう。
興味深かった研究
軽量化に関する様々な技術がある中で、もちろんそれらは非常に有効で興味深かったのは大前提として、個人的に興味深かったのは「機械学習によるアルミニウム合金析出相の自動検出」や、「機械学習によるダイカスト用アルミニウム合金の機械的性質の予測」です。
これらの発表では、アルミニウム合金中の析出物や機械的特性を機械学習によって自動的に検出し、その形成プロセスを最適化する技術が紹介されていました。
これらが直接軽量化に影響するわけでも、直接CO₂を削減するわけではないですが、これにより従来の試行錯誤的な手法よりも効率的に合金の設計が可能になり、より強度や耐久性の高い材料が開発されることが期待されます。この研究は、デジタル技術と材料科学の融合によって、金属加工の新たな可能性を感じさせるものでした。
機械設計などもそうですが、自動化により圧倒的に効率的に作業ができるようになってきています。私も画像解析やシミュレーションの研究をしており、研究分野が近いこともあり、非常に興味深い研究内容でした。
最後に
今回の学会を通じて、軽金属の研究がいかにカーボンニュートラルに貢献できるかを改めて実感しました。特に、機械学習のような先進技術が金属の特性向上にどのように役立つかが分かり、今後の技術革新が楽しみです。2050年に向けたカーボンニュートラルの目標は容易ではありませんが、こうした研究と技術が実現すれば、軽量化技術は大きなブレークスルーをもたらすでしょう。
私自身はまだまだ未熟ですが、今後も自分の研究や学会などの参加を通して知見を深め、より社会に貢献できるエンジニアになれるよう尽力しようと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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